はじめまして。さつまいもアンバサダー協会「焼き芋担当理事」の天谷窓大(あまや・そうだ)です。
甘くて栄養満点、まるで太陽を食べているような元気を与えてくれる焼き芋の魅力にとりつかれること36年。「焼き芋愛」が高じるあまり、2017年に焼き芋専門のフードフェス『品川やきいもテラス』を立ち上げてしまいました。
『品川やきいもテラス』毎年1月下旬から2月上旬にかけての1週間、東京・品川シーズンテラスに全国各地の焼き芋専門店が出店。めったに食べられない貴重な品種から、ブリュレにコロッケ、ステーキなど「こんな食べ方ができるの?!」とビックリするような斬新アレンジの「未来系焼き芋」たちを味わうことができます。
2017年の第1回開催には2万人だった来場者は(これだけもすごい数ですが)2019年には6万人と、まさに日本中の焼き芋好きが1ヶ所に集まっているのでは…と思ってしまうほどの賑わいです。
いやぁ、焼き芋ブーム。来てます。しかも年々その勢いはますばかり。
今回は担当初回ということで、いま私がハマっている絶品焼き芋を3つ紹介しようと思います。
これはもうフルーツだ!果汁のような蜜があふれる「なんたん蜜姫」
和歌山県串本町でのみ生産されている超激レア品種のお芋。水分が他のお芋に比べて多めで、まるで新鮮なフルーツを食べているかのようなジューシーな食感と、甘酸っぱいトロピカルな味が特徴です。
じっくりと焼き上げることで、お芋の甘味成分が蜜となってあふれて出てくるのですが、この蜜がまるでシロップのように透明でサラッサラなんです!
焼き芋から出る蜜の主成分は、お芋のでんぷん質が酵素によって変化した「麦芽糖」。その性質上、多くはカラメルのような色で水飴のような粘り気をもつのですが、この『なんたん蜜姫』の蜜は、まるでガムシロップのように透明でサラサラとしていて、透き通るような甘さなんです。
生産本数が少なくほとんど市場に出回っていないので、もし売っているのを見つけたら、迷わずゲットをオススメします!
冷やしてスプーンで召し上がれ!「超蜜焼き芋」
レアな品種に続いては、焼き芋の甘さを極限まで引き出すワザが光る、「技巧派」の焼き芋をご紹介。
東京都品川区の住宅街「西大井(にしおおい)」にある民家のガレージで営業している、知る人ぞ知る焼き芋の名店『超蜜焼き芋pukupuku(ぷくぷく)』の『超蜜焼き芋』。
焼き窯の設計からこだわった、門外不出の技術によって焼き上げられた焼き芋は、中からあふれた蜜で手がビショビショになってしまうほどです。
気になるお味ですが、まるでレアチーズケーキのような、しっとりモチモチとした食感。初めて食べる人はみんな「これシロップに漬けてるでしょ!」と疑うのですが、正真正銘、焼いただけなんです。
焼き芋といえばアツアツを食べる印象ですが、この『超蜜焼き芋』のいちばんおいしい食べ方は、「冷やして食べる」こと。蜜が結晶化して甘さがよりビビッドになるだけでなく、お芋全体がシャーベットのような食感になるんです。スプーンですくってほおばると、まさにスイーツ!!最高の甘みが口のなかに広がります。
最近の紫芋もスゴイ!
日本最大の焼き芋の祭り「栗源(くりもと)のふるさといも祭」で知られるさつまいもの名産地・千葉県香取市産のお芋。紫芋のホクホクとした食感と甘い香りはそのままに、より甘さを増した品種です。
「品川やきいもテラス」をやっていても「紫芋、ありませんか?」とたずねてくるお客様が毎年いるほど、根強い人気を持つ紫芋。甘さ控えめという性質から、お菓子の原料につかわれることが多いお芋でしたが、最近は改良が進んで、より強い甘みをもつ品種がつぎつぎと登場しています。
透明感のある紫色が特徴の「パープルスイートロード」はかなり浸透してきた感じはありますが、「あやむらさき」も徐々に市場で存在感を発揮してきました。最近はより甘みを強くし、モチモチとした食感をもつ「ふくむらさき」という品種も登場しています。
いま、紫芋の世界が、大変盛り上がっています…!
と、つらつら書いていたら結構なボリュームになってしまいました。このコラムを書いている翌日も、近所に新たな焼き芋屋さんが誕生したということで、偵察に行ってくる予定です。ステキな焼き芋を見つけたら、このコラムでどんどんご紹介していきますね!