育てる

時代の寵児、紅はるか

「紅はるか」の特徴

収穫直後は肉質が「ホクホク」としていますが、12月頃になってくるとそれまでの「ホクホク」から「ねっとり」とした食感へと変化していくタイプのさつまいもです。
その過程を経ていくにつれ、「紅はるか」自体の甘さもどんどん増していって、冷えてもおいしいさつまいもということで評価を得ています。

サツマイモ事典には、

  • 外観が優れ、上品な甘みがあり口当たりがよい
  • 貯蔵中の腐敗はほとんどない

と褒めながらも、一転、

  • 貯蔵によって蒸しいもの肉質が、逆な意味で粘質化しやすいことにやや問題あり

として課題も挙げられています。

見た目が良い、栽培がしやすく早掘りでも糖度が高い、食味が良いことという、生産面/消費面の両方から評価が高く、「紅あずま」を代表とするホクホク系の肉質ではなく、ねっとり系やしっとり系が好まれる現代のニーズにぴったりな”時代の寵児”ともいれる品種なので、しばらくは日本のさつまいもは「紅はるか」が主流になるのではないかと思っています。

紅はるかはどうやって生まれたか?

さて、突然ではありますが、人間だけに限らず、生きとし生けるものには、特別な例外を抜きにして、誰にでも父親と母親が必ず存在します。
それは農産物にも同じことがいえ、サツマイモとて例外ではありません。

では、「紅はるか」の両親は一体なんでしょうか?

母親はいもの形状および揃いが優れるという特徴を持つ「九州121号」、父親はいもの皮色および食味が優れるという特徴を持つ「春こがね」です。
この両親を交配して、九州沖縄農業研究センターで選抜され、2007年に「紅はるか」(かんしょ農林64号)と命名され、誕生いたしました。

品質遺伝の妙

「紅はるか」の父親である「春こがね」の父親(「紅はるか」にしてみれば祖父にあたります)にさかのぼってみますと、ホクホク系代表であり、現在、最も栽培されている(関東地方での栽培が多い)品種である「紅あずま」です。

つまり、「紅あずま」からすれば、「紅はるか」は孫にあたり、「紅はるか」からすれば「紅あずま」は祖父にあたります。

「紅あずま」と「紅はるか」、似ているような、似ていないような名前を持ちつつも、
祖父である「紅あずま」はどちらかというと粉質系で、孫である「紅はるか」は安納芋と肩を並べるような粘質系であります。

粘質と粉質、まったくつながっていないように思える両者が、ルーツをさかのぼっていくと実は同じ系統である。
「紅あずま」がいなかったら「紅はるか」は生まれていなかったのです…

関連記事