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おいもやさん興伸の齋藤浩一社長にインタビュー!

変えないために変える。
140年続く老舗が大事にしていること、とは。

興伸ロゴ

このお店、どこかで見たことありませんか?
浅草を中心に14店舗を展開する大学芋の老舗、「おいもやさん興伸」です。

さつまいものお店巡りインタビュー。初回の今日は、さつまいも大好き大学生(おはる)が、このお店の本社に潜入します!

迎えてくれたのは、おいもやさん興伸・川小商店の5代目齋藤浩一社長。物腰の柔らかさと雰囲気の温かさに緊張していた私もなんだか落ち着きます。

(おはる)今日はよろしくお願いします!
(社長)よろしくお願いします。

では取材スタートです!

商品について

(おはる)まずは商品について教えてください。一番の人気商品は何ですか?やはり…?

(社長)やはり変わらず大学芋ですね。売り上げの70%以上が大学芋です。
今はインドネシアなど海外で栽培したものを使って2種類、そのほか国産で2種
類がメインの商品です。

(おはる)海外でも栽培されているのですね。

(社長)はい。最近は農家さんもどんどん減っているので…。海外で栽培するときは大変なことも多いです。特にコミュニケーション面では苦労がありました。文化的な違いがあります。海外スタッフでよくあるのは、できないことでも「できる」と言ってしまうこと。やってみるとやっぱりできない。でもそれをただ叱るってことはできないと思っています。そこにはいろんな歴史的背景があるのかもしれないしね。
そこで、「できますか?」と聞くのではなくて、できるかどうかテストする仕組みを用意する、できなかった場合でもペナルティを与えないようにして「できない」といいやすい環境を作るとか…工夫して海外スタッフと良い信頼関係を築いています。

(おはる)
素敵な工夫…。
大学芋は今後もこの4種類がメインになるのでしょうか。

(社長)うん。今後は国産品種を増やしていく予定で、あいこまち・からゆたかなどを増や
していく予定です。全部で5.6品に増やします。

(おはる)なぜ今の品種だけでなく、新しいものにチャレンジしようと決めたんですか?

(社長)新しく私の代から、自社の農園をスタートさせました。自分たちがお客さんに提供
するものを自分たちで作ろうという取り組みを始めたんです。病気に強い新たな
品種をはじめ、様々なものに挑戦したいと思っています。

(おはる)自社栽培をスタートされたんですね。

(社長)はい。どんどん農家さんも減っているので、自分たちの満足いくものを作るために
は、と思い切って挑戦しました。実際は…反対もありましたけどね。苦笑

商品へのこだわりについて

(おはる)最近は、「マツコの知らない世界」「櫻井・有吉のTHE夜会」などでも紹介されていますが、人気の秘密はどこにあるんでしょう。

(社長)商品づくりに対して、正直に取り組んでいることだと思います。目先を追いすぎずに商品づくりに、まっすぐに取り組むことは大事です。例えば、商品開発は常にし続けています。実は毎年味を変えているんです。

(おはる)そうなんですか。興伸さんのお芋は、「昔から変わらない味」「懐かしい味」とい
った評判もありますよね。(…味は変えていない、のでは…?)

(社長)「変えないために変える」んです。
人の舌って、実は常に変化しています。その時の流行りの味付けだったり食感だっ
たり…あるでしょ?笑

(おはる)(…タピオカ。。。笑)

(社長)その時代に合わせて変わってくるし舌もどんどん肥えていく。 お客さんに「変わらない味」って思ってもらうためには、「変える」必要があるんです。 そこでうちでは、全店舗のスタッフの報告をもとにお客さんの反応をチェックしています。味に対する反応とか商品に対するコメントを一つ一つ確認しているんです。それから、デパートなどの催事への参加にも積極的に踏み切るようにしています。いろんな人に知ってもらって、食べてもらって、感想や評判を聞いて、また更なる改良につな げます。催事を出すのは結構大変だったりするけれど、やっぱりうちのを食べてくれるお客さんのことを知りたいので。

(おはる)なるほど…お客さんのことを大事にしている姿勢が伝わってきます。

(社長)だからうちでは、大きなイベント・コラボにも参加したりはするけれど、それ以上
に、今お客さんに気に入ってもらえている商品を大事にして、「変わらない味」っ
て思ってもらえるように努力しています。

社長さんが出してくれたスイートポテト。
しっとり、甘くておいしい。
新物なので少し甘みが少ないとか。時期による味の変化も楽しみの一つ。
あまりのおいしさに、思わず笑顔。

商品以外で提供したい価値

(おはる)興伸さんでは食育教育などもされているんですよね。

(社長)はい。最近だと、浅草の他のお菓子屋さんと一緒に、地域の「子ども食堂」の活動に協力しています。やっぱり小さい子どもたちに、うちのおいしい大学芋をぜひ味わってほしいので。こどものころの味って大人になってふとした時にまた食べたくなるものだから。

(おはる)確かに、いまさつまいも好きなのも、昔よく焼き芋食べてたからです。笑

(社長)そうでしょ。 ほかには、父(4代目齋藤興平社長)が鹿児島から「さつま大使」
に任命されて、鹿児島県でさつまいもの普及活動をしていたこともあります。私は発展途上国とされるような国々で支援活動をしました。タイとかフィリピン、インドネシアなんかも行ってましたね。

(おはる)ほかにも今後やっていきたいことはありますか。

(社長)そうですね、まずは自社で始めた栽培を軌道に乗せたい。自分の代から初めて自社
で生産するようになって新たにでてきた課題もあります。それを乗り越えて、またいい商品づくりを続けていきたいと思っています。先代から続いてきたことですが、「お菓子は歴史を作っていく」と私は思っています。これからも丹精込めたよりいいものを作り続けます。

大学芋

お菓子は歴史を作る、変えないために変える、
そんな強い思いの一方で、素直に正直な商品づくりを大切にする姿勢が
どこか懐かしい、興伸の大学芋を作っているのだと感じました。

齊藤社長、インタビューありがとうございました。

(2019年12月1日 担当:おはる)

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おいもやさん興伸

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