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大学芋・二度揚げのヒミツ

さつまいもアンバサダー協会 大学芋担当の奥野靖子です。

皆さまは「二度揚げ」をご存じですか?
大学芋専門店さんのこだわりとして、しばしば出てくる「二度揚げ」。
「手間暇かけてつくってくださっている!」と知るだけでも、よりありがたく感じられますが、
実際のところ「なぜわざわざ、二度も揚げる」のでしょうか。

今回は「おいしさをつくる「熱」の科学 ~料理の加熱の「なぜ?」に答えるQ&A~」
という文献を参考にし、ご紹介いたします。

◆そもそも二度揚げとは
実は「二度揚げ」はサツマイモ以外でも、揚げ物全般に見られる調理法。
天ぷら等で、聞いたことがある方も多いかもしれません。

その概要は・・・
1:低温で、サツマイモを揚げる。
2:ほんのり色づいたら、油からサツマイモを取り出す。
3:油の温度を、高温まで上げる。
4:もう一度、サツマイモを揚げなおす。
といったものです。
そう、わざわざ温度を変えるのです!
この「低温」「高温」がどうやらポイントになりそうです。

◆二度揚げの意味
最初の「低温揚げ」は、サツマイモの「中心部まで火を通す事」が目的です。
デンプンを多く含むサツマイモは、デンプンがほぐれるまでに時間がかかり、
その分長く揚げなければいけないとの事。

2度目の「高温揚げ」は、表面の水分を蒸発させて「カリっとする事」が目的です。
高温で揚げるとサツマイモ表面の水分がしっかりと抜け、そこに油が入り込むのでカリっと揚がります。

しかし表面がカリっとしていても(極端に言うと端がコゲ気味でも)、
中はまだ火が通っていないという失敗は私もした事があります。
そう考えると・・・最初にじっくりと低温揚げをしてこそ、仕上げの高温揚げがありとも言えますね。
しかし、揚げ物は油から取り出した後の余熱でも火が通りますので
「じっく~り。じっくり。」と思うばかりに揚げすぎない様にもご注意ください。
というのは、半分自分にも言い聞かせています笑。

◆大学芋屋さんの揚げ事情
ちなみに大学芋屋さんからよく聞く油の温度は、「低温=160℃」「高温=170℃~200℃」。
実際に油温計でも「140℃~160℃」は「やさい」と書かれています。
しかしこれらには決めごとはないのだと思います。
そもそもサツマイモも、品種によってデンプン量も大きく異なりますし、
季節よって取り巻く環境(気温・湿度)も違います。

揚げ温度のエピソードといえば、とっても美味しい大学芋屋さんが
「目で確認しているから、何度かはわからないね!」と仰っていた事も思い出されます。
ちなみに「二度揚げ」と限らず「三度揚げ」する専門店さんもいらっしゃいます!
奥深い揚げの世界・・・皆さまもぜひ、大学芋の二度揚げをお試しください。

参考文献:おいしさをつくる「熱」の科学 ~料理の加熱の「なぜ?」に答えるQ&A~
(著:佐藤秀美 栄養学博士様)
さつまいもアンバサダー協会
日本・大学芋愛協会会長  奥野靖子

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