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電子レンジで焼き芋を作る際に絶対忘れないでほしいこと

こんにちは。さつまいもアンバサダー協会 焼き芋担当理事の天谷です。

ひときわ厳しいこの冬の寒さ、暖かくて甘い焼き芋の需要はますます高まるばかりです。最近では焼き芋専用トースターも誕生し、ご家庭でも手軽に美味しい焼き芋が楽しめるようになりましたが、ご家庭での焼き芋の際にぜひみなさんに気をつけていただきたいことがあります。

焼き芋専用トースターのほかに、オーブントースターや魚焼きグリル、また最近では炊飯器を使った焼き芋レシピも見かけるようになりましたが、それとあわせて目につくようになったのは、電子レンジを使った焼き芋のレシピです。

電子レンジを使った焼き芋は、芋をレンジに入れてボタンを押すだけ…… 一番簡単そうに見える手段ですが、実はもっとも危険な手段でもあります。

「電子レンジの焼き芋」で火事が起きる

たしかに、電子レンジを使って焼き芋を作ることは可能です。実際にさまざまなメディアでも取り上げられました。
ただ、電子レンジの特性を知ったうえで慎重に行わないと、火事が発生する恐れがあるのです。

私、天谷の体験談をお話しましょう。
ある日、農家さんからとびきり甘いサツマイモをもらったので、焼き芋にしようと考えました。家にはオーブントースターや魚焼きグリルがなく、あったのは電子レンジのみ。以前から盛んに電子レンジを使って料理を作っていた私はさつまいもをラップで包み、レンジに放り込みました。

その後、自室でお芋が焼き上がるのを待っていると、なにやらコゲくさい匂いと警報音が…

「ピーッ。 ピーッ。 火事です。 火事です。」

あわてて台所にかけつけた私が目にしたのは、猛烈な火と煙を吹き出す電子レンジでした。

幸い手元に住宅用の消火器があったので事なきを得ましたが、レンジの背面には大きな焦げ跡が。あと数分発見が遅れていたら、さつまいもと一緒に自分自身まで真っ黒に焼けてしまうところでした。

消火後、電子レンジの扉を開けると、中には消し炭と化したサツマイモの姿が。
いったい、何が起こったのでしょうか。

なぜ電子レンジから火が出たのか

電子レンジは、マイクロ波のパワーで水分を高速に振動させ、摩擦熱を起こすことによって温めます。
水分が十分に含まれていれば問題はありませんが、サツマイモのように水分が少ないものをそのままかけると乾布摩擦状態となり、発火してしまうのです。

原始的な火の起こし方で、木と木をこすりあわせるという方法がありますね。
あれをおなじことをやってしまったのです。
そりゃぁ、火が出るわけですね……。

そもそも、オーブントースターやグリルと電子レンジの発熱メカニズムはまったく異なる、ということを知っておく必要がありました。
同じような外見でも、中身はまったく別物なのです。

電子レンジ焼き芋はオススメしません。でも、どうしてもやりたいなら……

このような危険があるので、電子レンジでの焼き芋はオススメしません。
でも、どうしても電子レンジで行う必要がある場合は、次の点に注意しましょう。

お芋を濡らして包み、ラップでくるむ

発火を防ぎ、お芋に水分を与えるため、電子レンジで焼き芋を作る際は、事前にお芋自体をしっかり濡らしましょう。
さらに濡らした新聞紙やキッチンペーパー(握って水分がしたたるくらいにしっかり濡らしたもの)で包んだうえで、さらにラップでくるみ、熱で蒸発した水分が出ていかないように対策しましょう。

2分以上熱さない

長い時間電子レンジで熱すると、保護した水分も蒸発してしまい、発火のリスクが高くなります。
電子レンジで熱する際は、前述の対策をしたうえで、絶対に2分以上熱さないようにしてください。

レンジに入れたら目を離さない

上記の対策を施していても、お芋やレンジの状態によって、不測の事態が発生する可能性があります。
いったんレンジに入れたら、絶対に目を離さないこと。少しでも煙のようなものが見えたり、焦げ臭い匂いがしたら、すぐに止めてください。

電子レンジでの焼き芋はオススメしません(繰り返し)

ここまで書くと、「ここまでして電子レンジで焼き芋を作る必要って……?」と思うかも知れません。

はい。実際そうです。
やむを得ない場合を除いて、電子レンジでの焼き芋はオススメしません。

焼き芋専用トースターは数千円程度のものもあり、通常のオーブントースターとしても使える便利なものもあります。
少し出費にはなりますが、安全に焼くことができますので、可能な限りはこちらをオススメします。

安全に気をつけて、ご家庭の焼き芋を楽しんでくださいね。

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