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なぜ電子レンジではサツマイモが甘くならないのか?

サツマイモの甘さは、サツマイモに含まれる「デンプン」が、βアミラーゼという酵素の働きによって「麦芽糖(マルトース)」に変わることによってうまれます。
ただし、「デンプン」もそのままでは糖に変わりません。水分と加熱により糊化されたデンプンのみに、β-アミラーゼは作用します。
そのため、甘くて美味しいサツマイモが食べるためには、このデンプンの糊化とβアミラーゼの働きを理解することが大切になります。

まず、少し昔の論文「甘藷の加熱調理に関する研究 生成糖とβ-アミラーゼ活性」から引用させていただきますと、

1.焼きいもの場合、電子レンジ加熱に比べ糖は約2倍生成された。
2.加熱によりβ-アミラーゼは時間とともに失活していくが、焼いもの場合は徐々に失活し、90分で数%の活性が残っている。一方で電子レンジ加熱の場合は急速に失活し90秒で完全に失活した。
3.焙焼の場合、60分でデンプンはほとんど糊化していて(いも中心部の温度78℃)、この時に糖の生成量は著しく増加した。電子レンジの場合、調理時間が非常に短いため糊化が十分に行われたころには、β-アミラーゼがほとんど失活してしまっていて糖の生成量は少なかった。

βアミラーゼは酵素の一種であるので、(高校の生物で習ったように)高い温度で失活しその働きを失います。至適温度(酵素が作用を発揮する最適の温度)は60~70度と言われており、90度以上でほとんど失活します。デンプンの糊化は、加熱により進んでいきますが、急速な反応をするわけではありません。

つまり、糖の生成はβアミラーゼが作用し始める前に、デンプンの糊化が起きていることが必要となり、酵素が失活しないうちにデンプンが全て糊化されていった場合に、麦芽糖の生成量が一番多くなります。

したがって、じっくりと加熱をしてデンプンの糊化を進め、それに合わせてβアミラーゼの至適温度になるようにサツマイモ内部の温度を上げていくという、絶妙なる調整が必要となるということです。

普段は160~180度に温めたオーブンで60~90分ほど様子を見ながら焼いていただくのが一番です。

最後に意外だったのは、上の論文では焼き芋と蒸かし芋では糖の生成量にあまり違いがありません。感覚的には焼き芋のほうが甘く感じますが、これはたぶん焼き芋は水分が適当に飛ぶために、より濃縮された甘さになるということだと思います。

そのため蒸かし芋を作った場合は、少し水分を飛ばすように乾燥させてあげることで、甘さを引き立たせることができます。干し芋理論です。

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