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サツマイモの食物繊維は本当に多いのか?

代表理事の橋本です。
講演などで、サツマイモの栄養素について話をしていますが、いつも「サツマイモは食物繊維が豊富です」と言っています。
また、多くの本やメディアでも「サツマイモは食物繊維が豊富で、整腸作用があります」と書かれていることが多いです。

ただ、先日行った焼きいも講義中に、口ではそう話していながらも、ふとこの件について「本当かな?」と疑問に思いましたので、改めて調べてみました。

サツマイモに含まれる食物繊維量

日本食品標準成分表2020年版(八訂)のデータから、サツマイモと、比較対象としてジャガイモや食物繊維が多いといわれている野菜を抜き出してみました。

サツマイモは皮あり/なしや加工状態によって何種類かデータが載っています。
また、サツマイモやジャガイモは「生」のデータも載せていますが、その他の野菜は実際に食べる状態のデータを載せています。

食物繊維の塊じゃないか?というイメージのある「ごぼう」は確かに多く含まれていますが、意外なところでは大豆でしょうか。
サツマイモは皮ありのほうが若干食物繊維が多く含まれます。食物繊維をとりたいのであれば皮つきのまま食べるほうが良さそうです。
調理方法によって値が変わっていますが、これはデータが可食部100g当りの値なので、焼きや干しは水分量が少ない分が影響して、多くなっていると思われます。

食物繊維が豊富と言えるのか?

さて、食品の栄養強調表示には基準が定められていまして、一定量以上含まれないと「高○○、○○豊富、○○たっぷり」などの高い旨の表示ができません。食物繊維の場合は食品100g中6g以上が基準となっています。
また、「○○含有、○○源、○○入り」まどの含む旨を表示するには3g以上が基準となっています。
食品表示法等(法令及び一元化情報)

先ほどの日本食品標準成分表によると、蒸し(皮あり)で3.8g、焼き(皮なし)で3.5g、干しいもで5.9g(惜しい!)です。
「食物繊維含有、食物繊維源」とか含む旨を表示するのはセーフですが、皮をむいた蒸かしいもだと2.3gなのでアウト。
個別の商品だとわかりませんが、とりあえず「食物繊維豊富」とか「食物繊維たっぷり」という表示は厳密にはアウトですね。

食物繊維とは?

ただ、食物繊維の種類も様々でして、詳しくは下記のサイトを読んでいただきたいのですが、日本食品標準成分表も測定法により、食物繊維の量が変わっています。
食品メーカー困惑 玄米より白米の方が食物繊維が多くなる怪現象

ジャガイモをみてみると倍以上(生は約7倍)も違います。

サツマイモは新しい測定法(AOAC 2011・25法)の結果が載っていないので、現在は「高分子水溶性食物繊維」「不溶性食物繊維」のみで、
「低分子水溶性食物繊維」は入っていません。また「難消化性でんぷん」も一部しか測定できていないようです。
サツマイモも新しい測定法で測ると、やはりすべての状態において「食物繊維豊富」とか「食物繊維たっぷり」と書いて良いことになりそうな気がします。

サツマイモは健康増進食品

サツマイモは、特定の成分に注目するよりも、食物繊維以外のポリフェノール類や糖類なども腸内細菌の餌となり腸内環境を整え、ビタミンやミネラルなどのバランスも良いので、健康増進する食品であるのは間違いないと思います。
また、大豆とかゴボウとかは一度に100gも食べることは少なく、サツマイモだと200gぐらいはぺろりと食べられますので、実質はサツマイモのほうが多く食物繊維を摂取できます。
食物繊維の1日の摂取目標量は、女性18 g以上、男性21 g以上です。少し大きめの焼きいも(300g前後)であれば、目標の半分ぐらいは摂取できます。
ぜひ普段の食事や間食に取り入れていただきたいと思います。

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